第39回JC青年の船「とうかい号」研修方針
研修委員会 委員長 中島保雄
現代の日本は、人々の意識や考え方が利己主義的なものへと徐々に変化し、人と人との関係が希薄になってきていると感じます。しかし、その一方で、東日本大震災においては、震災後2ヶ月間で累計25万人以上が復興支援に駆け付けるなど、人のために率先して活動する人が如何に多いことかを改めて気付かされました。そして、その被災者の為に行った活動を通して、私たち日本人の心の中には、「恩送りの精神」が今も生き続けていることに気付きました。さらに、被災地では、自治会活動の盛んな地区ほど生存者が多かったという事実が明らかになり、人と人とのつながりの重要性や周囲から支えられ生きていることを学びました。私たちは、この震災経験から得た学びや気付きを忘れることなく、如何に今後の生活の糧にしていくかを問われていると思います。
また、震災時の状況は、世界中で大きく報道され、それにより、世界各国から人的、物的、精神的支援が届けられました。同時に、これほどの大災害の中にあっても、秩序を保って互いに助け合う行動を讃える声も数多く届けられ、日本人の素晴らしさを再認識することにもなりました。今回の寄港地台湾からも数多くの支援を戴きました。この背景には、両国間で築き上げてきた歴史的関係から、多くの台湾の人々が日本に対し信頼と好感を抱いている現状があることを知り、今一度、この歴史を振り返ることで、日本人のアイデンティティを再認識する必要性も感じました。
この度の研修では、日常では認識しがたい自分自身を真摯に見つめ直し、現状の自分を知り、他者の考えや行動を理解し、自分自身の存在意義を認識して頂きます。また、人はお互いに支え合って生きていることや家族、会社、地域社会、自身に関わるすべてに感謝することの大切さを知って頂きます。そして、それらの気付きや学びをもとに、日本人としてのアイデンティティを再認識し、恩送りの精神について学ぶことで、人を思いやり周りの為に行動することが如何に大切かを学んで頂きます。自ら進んで少し無理をしてでも他人の為に行動することが、周りの人々から認められ信頼へと繋がります。その行動の環が広がれば、「最幸」の未来に向かって大きな一歩となると考えます。
以上の観点から、第39回JC青年の船「とうかい号」では、主に自分の存在意義と可能性の気づき、万物への感謝、恩送りの精神の大切さ、日本人のアイデンティティの再認識をテーマとして研修を行います。下船後、一般団員一人ひとりが、感謝と思いやりでつながる「最幸」の未来に向けて、周りのために自ら進んで行動出来る青年となって頂くきっかけを提供します。